ビッグデータとビジネスインテリジェンス
データから有益な情報を取り出す、という営みは、何も「ビジネスインテリジェンス」という枠組みに特別なものではありません。
会社を経営していれば、会社の経営に関わる数字は当然みてきたわけですし、Excel でもなんでも使って図表を作るなりしてきました。
わざわざ「ビジネスインテリジェンス」などというキーワードでモノを語る必要などあるのでしょうか?
さらに、最近では「ビッグ・データ」というキーワードも聞いたことがある人も多いことと思います。
そうした言葉の違いを、ここで少し整理しておきたいと思います。
ビッグデータとは?
ビッグデータ (big data) は米国ガートナー社によれば次のように定義されています。
Big data is high volume, high velocity, and/or high variety information assets that require new forms of processing to enable enhanced decision making, insight discovery and process optimization.
参考までに訳を書くと「より良い意思決定、状況理解、処理の最適化を可能とするための、新しいデータ処理機構を必要とする、大量で、頻繁に変更があり、多種多様な情報資産」ということになるでしょうか。
この定義は「量(Volum)」、「速度 (Velocity)」、「多様性 (Variety)」 というところから、「3V モデル」といわれています。
また総務省の通信白書ではビッグデータを 「事業に役立つ知見を導出するためのデータ」 とし、データソースの多様性を特徴としています。 そしてビッグデータを構成するデータソースとしては次をあげています。
ソーシャルメディアデータ | 参加者のプロフィール コメント |
マルチメディアデータ | オンライン上に配信される音声、動画等 |
ウェブサイトデータ | EC サイトやブログ等における購入履歴 ブログエントリー等 |
カスタマーデータ | CRM システムにおいて管理される DM 等販促データ 会員カードデータ等 |
センサーデータ | GPS, IC カード、RFID 等で検出される位置、乗車履歴、温度、加速度等 |
オフィスデータ | オフィスのパソコン等で作成される文書、E メール等 |
ログデータ | ウェブサーバーで生成されるアクセスログ、エラーログ等 |
オペレーションデータ | 販売管理などの業務システムで生成される POS データ、取引明細データ等 |
ビジネスインテリジェンスとビッグデータの実際
「各種情報を取り込み役に立つ情報にする」という目的面ではビッグデータ・ソリューションもビジネスインテリジェンスも同様のもののように思われます。
しかしながら、実際の各社の事例等をみると、システムが着目している場所が違います。
BI ではレポーティングツールとしての役割が強調されます。つまりデータの「視覚化」「見える化」というところに重きがおかれています。
一方「ビッグデータ」ソリューションといったときには、文字通り大量のデータ処理を行うところに重きがおかれています。従来の BI ソリューションでは追いつかなかった処理が、ビッグデータソリューションで解決、といった具合です。
ビッグデータの定義から考えると、大量、多種多様ということが強調され、上述のようにブログやフェイスブックのコメント、ツイートなども経営判断にしないといけないように思われてしまいます。しかし、ビッグデータソリューションといっても、実際にはまだそうした雑多な情報まで分析し、そこから有用な情報を抽出するにはいたっていないのが現状です。